講習2日目は2017年1月1日元旦。この日、島に渡るのはめぎたちだけだった。

めぎたちだけのためにお迎えの人が働いているのは申し訳ない気がしたが、ついでになにやら運んでいるみたいだったし、この日程は彼らの方からの提案だったのだからまあいいのだろう。前日のカウントダウンパーティー疲れでみんな二日酔いダウンしている元旦は、普通は誰もダイビングになど来ないのだろうが、その間に稼げるならば、ということなのかもしれない。そう言えばめぎたちを担当しているインストラクターはムスリムだし、お酒は飲まず、新年カウントダウンすらしないのかも。

島に向かう船の中で、めぎはこれからの講習でどこまで行けるかやっぱりちょっと不安でブルーだったが、そのブルーさは最難関をクリアしたので前日の朝ほどではなく、どこまでいけるかな・・・いけるところまで頑張ろう、という感じだった。うちのドイツ人は海も船も大好きで上機嫌で、あのマスククリアは出来ないかも知れないけれど・・・なにしろ口から息を吸ってもどうしても鼻からも吸ってしまうのだから、どうして良いか分からない・・・でもまあもう一度やってみよう、という感じだった。でもさ~ゴーグル無しで泳げるんだし、つまり顔や目を水中に入れても気にならない訳だし、海で200メートルゴーグル無しでさくっと泳げるんだし、10分間何の不安もなく浮いていられるんだし、素潜りだって何の苦労もなく出来るんだから、まあ大丈夫でしょ・・・

ハーバーとホテルが遠くなっていく。ちなみに配られたチケットに書かれていたこのガヤ島送迎チケットのお値段は14リンギットもしない。日本円で言えば350円程度だ。これは非常に印象に残った。というのは、ホテルのハーバーで直接どこかの島に渡る往復チケットを買うと、平均60リンギット(約1500円)もするからだ。そちらは島の往復だけで、さらに入島料が10リンギットかかるし、何という観光客価格。彼らは本来14リンギット弱のところをそんなにマージン取ってるのね。

そんなことを話しているうちに船はまたガヤ島の例の場所までやってきた。ああ、またここで潜ってスキルの練習するのね・・・一気にブルー度が増した。お正月なのに辛いスキルの練習。ううううう。

さてこの日、まずは学科講習。宿題だった問題の答え合わせをし、大事なポイントの説明を聞き、ビデオを観て、確認テスト。この日はセクション2と3が終了。予習バッチリだったしね。

それからまた海へ。この日は例の波止場の先端にシリンダなど器材が用意されてあって、めぎたちが運ぶ必要がないようにセッティングされていた。めぎたちがあまりにも体力無いのを見て、少し楽にしてくれたのかしら。波止場で器材装着の復習をしながら準備し、先端からまた足から落ちる形で下へ飛び込み。前日に器材無しで経験済みだったとは言えまたちょっと怖かったが、もう何でもあれという感じでざっぶーん。めぎはどんどん強く図太くなっていったというか、やれと言われたことをちょっとイメトレする時間をもらってよしっと心を決めてチャレンジし、一発成功という感じになっていた。これは、インストラクターさんの教え方が上手かったおかげなのだが、だから彼を信頼出来たからかも知れないし、やり遂げたいという意識が強かったからかも知れない。
さて、飛び込んだところから泳いで外海に出たところで、うちのドイツ人が突然「悪いけど自分はギブアップする」と告げた。ええええ~!そ、そんな・・・あんなにやる気いっぱいで煙草までやめて臨んだのにですか!?・・・なんでも、この重い器材を背負って飛び込んだ時点で、もうこんなことはしたくない、と悟ったのだとか。器材なしであんなに自由に泳げるのに、器材があれば波があっても浮いていられるし呼吸も出来てもっと自由に泳げるのに・・・でもうちのドイツ人は、シリンダからの空気を吸うレギュレーターに馴染めず、どうしても鼻から息を吸ってしまうこと、こんな器材を背負って飛び込むだけでもうパニックになりそうで、それ以上スキルの練習をする意欲を無くしたのだという。あ、その感覚、めぎの沖縄のときと同じ・・・やっぱり、このダイビング講習で何をするか事前にちゃんと知って覚悟が出来ていなければ、やり遂げるのは結構辛いのよね。
「そうですか・・・」ダイビングをするか否かは本人が決めるべきことなので、インストラクターも「もう少し頑張ってみましょうよ」などとは全く言わなかった。今思えば、もし昨日の浅瀬のスキル練習の時にもう少し時間をかけてうちのドイツ人にマスククリアの練習をさせ、レギュレーターでの呼吸にも慣れ、なんだ簡単だ、と思ってから深いところに移動していれば、もしかしたら大丈夫だったのかも知れない。でも、水に慣れてて泳ぎの得意なうちのドイツ人にこんなことが起こるとはインストラクターさんには想像出来なかったのだろう。でもめぎは・・・せっかくあの嫌なマスククリアも出来るようになり、せっかく最難関の10分間フロートも合格し、これで終わりにするなんて勿体ないことは出来ない。悪いけど、私はもう少し続けてみるわよ。
もちろん!ごめんね。頑張って!
と言ってうちのドイツ人は陸へ上がっていった。その後めぎは限定水域のセクション2を行い、引き続き難関の「全部に水の入ったマスクのクリア」「マスクの脱着とクリア」「マスクなし呼吸」をも合格。スキルの練習はどれも楽しいものではなくハッキリ言って不快なことばかりだが、もうこうなったら(うちのドイツ人がやめちゃったから)どうしても終わらせる必要はないし、出来るところまでやろうという気持ちで臨むとそれなりに淡々と進む。エアが無くなるという仮設定の経験もし、なるほど、こうなるのか・・・と大変ながらも興味深く練習。

それからお昼休憩。うちのドイツ人は清々しい顔で寛いでいた。何をすることもなく、セルフサービスのコーヒーなど飲みながら、熱帯地方の鳥の声や海風を楽しく堪能していたらしい。なんだかいいなあ。
見渡してみると、このダイブショップの近くには簡素な宿泊施設もあった。あの行きの船に積まれていた飲み物や食料などはここで使うためのものなのね。いつかここに泊まってダイビング三昧するのも良いなあ・・・あ、でも、うちのドイツ人はもうライセンス取らないのよね。うーん、二人でダイビング三昧の休暇の夢はもう無理かしらね・・・

午後にはまたここから海に入り(このときは飛び込まず階段を利用した記憶)、限定水域3とオープンウォーター2をやったように記憶している。記憶が定かでないのは、慣れてきたからでもあるし、もしかしたら疲れてきたからかも知れないし、一つ一つはそれほど難しくはないが次から次へと新しいスキルの練習があって、そのどれもがそんなに楽しいものではなく、それを独りぼっちでクリアしていかなければならなくて、この午後がめぎにとって意外に辛くて、ただ終わらせるために次々とこなしただけだったからかも知れない。そして、基本的に水中だからそんなに長い時間ではないが、インストラクターさんと一人で会話しなきゃならないのも結構大変。うちのドイツ人がいれば、彼がずっと会話しててくれて、めぎは聞いているだけで済むのになぁ。ホント、まさに英語のインテンシブコースを受けに来たみたい。インストラクターさんは親切で面白くて、お喋りするのは楽しかったけど、でもめぎ、もうへとへとだったから。

やったことは、限定水域3ではこんなこと。水面でウエイトシステム脱着というのがなかなか大変だった。まずはウエイトのベルトを外し、落とさないように気をつけながら、自分の上に載せて自分がぐるぐる水面で回転しながらウエイト(ベルト)を装着する。

オープンウォーター2ではこんなこと。中世浮力がちょっと体得出来たのは楽しかった。ここで最もしんどかったのは、水中でエア切れになったという想定で浮上し、水面でオーラルで浮力装置に空気を入れるというもの。もうへとへとなところで自分の浮力だけで海の波に呑まれつつ必死に息を吸い込んで全身を包む大きさの浮きベストを膨らますというのは、本当に大変である。

この日は11.8メートルのところに37分いたらしい。

限定水域の水中時間は記録されないので、全部でいったい何分潜っていたか分からないのだが、うちのドイツ人は、ずいぶん長い間潜ってたね~凄いね!といたく感心していた。
そしてまた終わったことにサイン。

ここまで終わると、スクーバダイビングのライセンスが取得出来たのだという。ここで辞めても、一つライセンスを持って帰れる。ああ、もうやめちゃおうかな・・・そう思うほど、へとへと。もうあのスキルの練習、嫌。

この日、帰りの船でめぎはくたくただった。ここまでやったからには、あとにどんな辛いスキルがあっても最後までやり遂げよう、とは思っていたのだが、あと1日で全て終わるとも思えず、予備日も使ってあと2日もあんな辛いことをしなければならないのかと思うと、もうどうでもいい、明日は寝ていたい、と思うほど疲れていた。うちのドイツ人が途中放棄したことなどもう何のフォローも出来ないほど、自分自身のことでいっぱいいっぱいだった。だから帰りの船の写真もないし、ホテルのラウンジでの夕食の写真もない。それでもめぎはホテルで最後の学科の予習をし、へたり込むように就寝したのだった。なんというか、もうやめても問題はないのだけど、でもでもここまでやったんだから、という思いが強くて。凄い元旦だったなあ・・・方やうちのドイツ人は、途中放棄は残念だけど、でももう十分、次の日はシュノーケルをして一日過ごせるようにダイブショップで交渉したから時間も有意義に過ごせるし、めぎ、気にせず最後まで頑張ってね~と上機嫌であった。
つづきはまた来週に。
撮影: Xperia Z1
この記事へのコメント
Baldhead1010
海に対する、あるいは山などに対するいろんな考え方があるんですね。
YAP
ナツパパ
これはもう持って生まれたものなのかしらね。
途中で止めたら、それはそれで挫折感が強く出て、
なんかブルーが大きくなるようにも思うです。
テリー
私も、仮に、やり始めたら、ギブアップは、いやで、なんとか、頑張るでしょうね。
engrid
そうなりそうです、、学習して、イメトレした
インストラクターの方を信頼して
折角の機会をのがしたくないから、って
mimimomo
Inatimy
そこを読んだ瞬間、頭がくらっとなりそうでした^^;。
足がつかないところへは怖くて行けない私ゆえ・・・。
次から次へ挑んで、これはかなり体力が要ったでしょうね〜。
rino
頑張り屋さん、憧れます(^^)
私は足のつかない海は怖いので絶対無理です~
すぐになんでも諦めてしまうヘタレキャラだし。。