到着日は近くに散歩に行っただけで部屋でゆっくりし、食事も宿ですると決めていた。歳なのでまずは本当にankommen(アンコメン)することが大事だというので。このankommenとは、到着する、という意味なのだが、着いてそこに馴染む、というような感じ。いきなり冒険せず、ゆっくりと体と心をそこに到着させていく、というようなニュアンスである。
この宿の宿泊者向けレストランには見開き1ページのメニューしかないが、それでも冷たい前菜が4種類、温かい前菜も4種類、スープが2種類、メインが肉魚合わせて8種類、デザートが4種類。値段は近くのこの町で一番有名なDar Zaroukという高級レストランと同じぐらい。つまり、高い。と言っても、ドイツやオーストリアの高級レストランの半分ぐらいの値段だけど。でも、まだチュニジアに慣れていない初日は、高くても宿のレストランで、というのがうちのドイツ人の希望だったのだ。若い頃(50年ぐらい前)はバックパッカーで安宿を泊まり歩き、現地で知り合った人の家に招かれたこともあったとかで、10年ほど前もトルコの僻地ですぐに地元に飛びこんでいった頃とはかなり違って、本当に慎重になったと思う。まあ病み上がり、というかまだリハビリ中だし、初めての国で勝手も分からないということも大きかったかな。若い頃のモロッコと今のチュニジアでは国も時代も違うわけだし。
めぎたちはまずチュニジアビールで乾杯。もう一口飲んだ後で撮影。なかなか行ける。イスラム教でお酒を飲まないチュニジアで、なぜビールを生産しているのかは不明。お通しに出てきたこのニンジンときゅうりが甘くてびっくり。これ何の野菜?と思ったほど味が違う。やっぱり太陽の強さが違うのねぇ…
その後チュニジア産の白ワインをボトルで頼み、前菜にはうちのドイツ人がタコのカルパッチョを頼んだ。38DT(チュニジアディナール)。11ユーロぐらいだ。量が多くてびっくり。それに、凄く美味しくてもっとびっくり!
めぎは魚介のスープ。35DT。これも美味しい。今まで食べたことのない味の魚介スープ。何のハーブなのかな。レモンを絞って食べるというのも初めてかな。この2つの前菜をめぎたちは二人で半分こして食べた。
そしてメインは二人で一つのクスクスにした。クスクスはチュニジアを代表する伝統料理の一つで、これはラム肉と野菜のクスクス。凄い量!58DT。17ユーロほど。二人で一つ頼んだら、ウエイターさんがちゃんと取り皿を用意してくれた。
野菜がごろんと入っている。これはズッキーニ。このクスクスはとても美味しく、このレストランなかなかいいねぇ。毎日ここで食べてもいいな。だって何といってもめぎたちしかいなくて安全で静かなんだもの…と思ったってことは、めぎたちってホント歳とって弱ってしまったってことよねぇ…
おなかいっぱいだけど、なんとなくデザートも欲しい。で、さっぱりと果物にしようとフルーツの盛り合わせを頼んだら、凄い量が出てきた…写真は半分程食べてから写したもので、中身はただのリンゴとミカンとイチゴなんだけど、このミカンの美味しいことといったら…16DT、5ユーロほど。飾りに使われていた緑の葉っぱが見たことのないものだったので、ウェイターさんに聞いたらPélargoniumだという。日本語ではテンジクアオイとか、ゼラニウムとか、そんな感じ。茎を一本持ってきてくれたので、それとともにパチリ。写してないけどコーヒーも頂いた。
食べ終わってもワインがまだ残っていたので、部屋まで運んでもらった。こんな夜景と海を見下ろしながらの晩酌。なんて贅沢。
チュニジア人はイスラム教なのでお酒は飲まないと既に書いたが、ワインを生産している。レストラン価格で一本95DT。28.5ユーロ。これはさすがにドイツと同じぐらいするわね。頼むのは外国人ばかりだし、まさに外国人向け価格。
味はまあまあ。でも、料理に合わせて飲むととても美味しかった。
さて、この日のお会計は〆て282DT。二人で85ユーロ。それって、ドイツの高級レストランの3分の1~4分の1ぐらい、普通のレストランでも最近は一人当たり飲み物込みで50ユーロするのが普通になってしまったので、チュニジアはやっぱり物価が安い。
しかし、ここで衝撃の事実。この国、平均月収がなんと300ユーロ弱、めぎたちがここで夕食を3回も食べればそのお会計と平均月収がほぼ同じなのだ。いや、それどころか、めぎたちの泊まった部屋の一泊分が、平均月収とほぼ同じ。それって、どうなの。美味しかったけど、とても居心地よかったけど、誰にお金を払っているんだろうという気分の悪さと、こんなことしていいのかと感じてしまうなんとも言えない申し訳なさを感じる場所でもあった。このことで、外の店で少々ぼったくりされてもまあいいやと思うようになった。めぎなど、チュニジア人にしてみたらお金の塊なのだ。ひったくりされないのが不思議なほどよね。チュニジア人たちはとても紳士だった。
この記事へのコメント
mm
青山実花
とはいえ、
その価格と、
チュニジアの平均月収を思うと、
考えさせられますね。
YAP
落ち着いた雰囲気の中で、おいしい現地料理が食べられるというのは、それだけでこのホテルのレストランで食べる価値ありですね。
日本でも誰が泊まれるのだろう?と思うような高級なお宿があるように、そういうポジションのホテルなんでしょうね。
全ての商業活動において、人件費を含む原価に需要と供給のバランスを考慮した部分が載せられるわけなので、物価水準の異なる国に行けば、そういうギャップを感じるのだと思います。
今や経済的に弱くなってしまった日本も同じで、海外からのインバウンド客は今回のめぎさんと似たような感想を持つ人もいるでしょうし、逆に日本人が海外へ行けば、(日本円に為替換算して)何千円もするラーメンとかに驚いたりね。
tarou
25/01/10 08:50:22
Re: No title
> 本当に美しいところですね。
コメントありがとうございました
天気がよいと、水仙を見ながら灯台までの散歩が
気持ち良いです(^^)v
ステキな旅を続けられてますね(^^♪
取り皿を出すレストラン、気遣いがいいですね(^^)v
tarou
25/01/10 10:01:57
Re: No title
> つるし雛、大掛かりで素晴らしいですね。
コメントありがとうございました
今年ももう少しすると、雛の吊るし飾り祭りが
始まります。
stellaria
JUNKO
おと
ラムのクスクスも美味しそう!
物価の違う国、高くても低くても驚きますね〜。
jetstream
盗難などのトラブルもなくよかったですね。チュニジアの方の多くは真面目な方でしょう。めぎさんの優しさを感じました。
Inatimy
安く済んで、見どころが多くても、どうしても気になってしまうので^^;。
観光が収入源だとわかっていても。