先日もご紹介したようにイースターとはキリスト教のクリスマスに並ぶ重要な行事なのだが、宗教行事として儀式に参加する人たちももちろんいるけれど(特にカトリック圏)、多くのドイツ人にとっては祝日で仕事がお休みで家族そろってちょっと豪華な食事をする日、という位置付け。イースターに実家に帰省するという習慣は日本のお盆やお正月と同等程度に残っていて、うちのドイツ人の両親が既に他界して帰省先のないめぎ家も、旅行でもしない限りデュッセルドルフにいる叔母と従妹と食事することになる。
いつもは夜に集うのだが、従妹の息子が夜には父方の祖父母の方で会食があるということで(従妹は離婚しているのでそこには行かない)、今回はブランチをすることとなった。11時ごろ着くと、既に綺麗にデコレーションされていた。写真多いのでパラパラで。

銘々の皿にはイースタータマゴのチョコレートのプレゼント。
早速頂きまーす!(まずプレゼントのチョコレートはテーブルから片付け、料理を頂き始めた。)
料理はブランチなので簡単だ。まず、4種類のチーズ。
色々なハム類。
野菜(白く丸いのはモッツァレラチーズ、奥にぼんやり写っている赤い丸いのは二十日大根、その左の漬物みたいに見えるのは単なるキュウリの輪切りと細めに切った赤パプリカ)。
従妹の手作りは、グリーンとホワイトのアスパラのキッシュ。
うちのドイツ人からの差し入れは、スモークサーモンとハーブ入りクリーム生チーズをホウレン草入りの薄焼き卵で巻いたもの。
そして、めぎからの差し入れはタケノコ白だし煮。これは、たぶんそうだろうなと思ってたけど、叔母は手を付けなかったし、従妹とその息子もお付き合いに一枚ずつ食べたけど、全然お口に合わなかったようだ。うちのドイツ人が作れと言うから作っていったのだけど、やっぱりね。日本食材店で半年前に手に入れた真空パックのタケノコを使った割には自分で言うのもなんだけど結構美味しくできていたのだけど、タケノコの食感やあの独特の味を美味しいと思えるのって、子どもの頃からの慣れが必要なんじゃないかな。ちょっとホワイトアスパラに似た方向だからいけるかな、と思ったけど、出汁が昆布とカツオである点からして馴染みもなく駄目だったのかも。ま、うちのドイツ人が満足してたからそれでいいのだけど。
めぎ家では走りのまだあまり味の乗らないアスパラを避けて5月になってから食べるのだけど、ここでアスパラを頂いてみたらやっぱりまだ水っぽかった。やっぱり5月を待つ甲斐があるのだな。叔母にホームの食事でホワイトアスパラが出るのかと聞くと、予め注文する形で提供されてて、ハムとホワイトアスパラのメインディッシュが17ユーロで、そんな贅沢をしてもいいのかと悩んでいるうちにその申込期限が過ぎてしまった、とのこと。でも、昨今マルクト市場では1kg18ユーロとか16ユーロとかしてるし(スーパーで売られるオランダからの輸入ものはもっと安い)、まともなレストランで食べると30ユーロぐらいするようなので、17ユーロは破格なんじゃないかな…叔母は17ユーロが出せないほどの貧乏ではないし…どうも彼女はホワイトアスパラの料理が10ユーロ以下で食べられた昔の世界に生き続けてて(アルツハイマーではない)、料理に17ユーロ出すのが許せないらしい。みんな、強い口調でそんなに高くてと言い続ける叔母をはいはいと聞き流している。でもね、知らないレストランで出すならともかく、いつもお世話になっているホームのレストランなんだから、ちょっと贅沢でもそのレストランにお支払いしてもいいんじゃない…?これからもそんなに高くない値段で美味しいものを提供していただくためにも。もちろんめぎもそうは言わなかったけど。
昨今ドイツで食料品が高くなったのは、最低賃金が上がったためでもあるのかも。ドイツの最低賃金は現在時給12.82ユーロ、約2千円。ドイツでホワイトアスパラを収穫するために働いているのは外国人労働者たちで、以前は安い賃金で働かせていたから野菜も果物も安かったのだろうが、今は事情が変わったのだろう。でも、その人たちにまともな対価を支払わないでいたら労働力が他の国に移動し、そのうちホワイトアスパラなんて食べられなくなっちゃうかも知れないし。しかし、そういう真っ当な話をしたって叔母は利く耳持たないし(先日も書いたように、昔と違うことは心が受け付けないから)、お年寄りを相手にするのって難しいわね。はいはい、そうねえって相槌を打てばその場は過ぎるけど、それって実は、いい大人を大いにバカにしていると言えなくもないし、お年寄りを大事にするって言うのは簡単だけど、いったいどうするべきなのかな。そして、自分自身はいったいどんな年寄りになるんだろう…こわ…
当たり障りなくおしゃべりしながら持ち寄りブランチを2時間ぐらいかけて頂いて、その後、つい先週一週間休暇を取ってポルトガルのポルトへ行ってきた従妹のお土産の10年もののポートワインを頂きながら…
たくさんのデザートが用意されていたのだが、うちのドイツ人からの差し入れの手作りティラミス以外は全て既製品なので、ここではみんなティラミスしか食べなかった。これもパラパラで。

↑子羊の形のケーキ(中身はたぶんスポンジケーキか甘めのパンのようなもの)が2つも。白い方は叔母からの差し入れで、ダークチョココーティングの方は従妹のアパートの下の階の人がイースター祝いとして持って来たもの。子羊はキリストを表象するもので、イースターのディナーにラム肉を食べる場合も多い。ウサギのケーキ(中身はちょっとぎっしり系のスポンジケーキ)は従妹の息子の差し入れで、足の部分をみんなで少し頂いた。
こうして計3時間のブランチがお開きとなり、たくさんのチョコレートをお土産として頂いてきた。

今回の集いは叔母が反外国人節を唱え始める前に終わって何より。いや、ひょっとすると、それを聞くのを避けるために従妹の息子は早めに席を立ってお開きのきっかけを作ったのかもしれないし、そもそもアルコールのたくさん入って長くなる夜を避けたのかもしれないな…従妹は午後5時には叔母をホームに送り届け、日曜日の夜から月曜日のもう一日の祝日にかけてゆっくり一人で過ごしたらしい。みんな、疲れているんだね…
この記事へのコメント
Baldhead1010
stellaria
高齢の義母もいろいろ変なことを言いますが(認知症のせいだけではない)あまり反論しないようにしています。昨年末から介護サービスを受けていますが、ケアマネージャーさんやヘルパーさんたちは義母の言うことを絶対に否定せず、そうですよね、と全部聞いて、その後に義母とサービスの契約を進めていくんです。多分、否定してもかえってこじれるからではないかと夫が言っていました。プロはすごいです。
めぎさんはきっと、お年を召されても柔らかな心の持ち主であり続けるんじゃないでしょうか...?
mm
Rinko
Megiさんのたけのこ、すっごく美味しそうですよ^^
JUNKO
てんてん
Inatimy
タケノコ、独特の風味、日本人である私でも子供の頃は少し苦手で、
好きになったのは大人になってから^^;。
グリーンアスパラガスが食卓に並ぶようになったのを見て時代の流れを感じます。
昔はなかったですよねぇ。
おと
YAP
タケノコ、こんなにおいしそうなのに。
欧米人は、職に対して保守的というのを最近ニュースで読みました。
海外へ旅行しても、その国の名物はあまり気にせず、マックとかバーガーキングとか、よく見る世界的チェーン店で適当に済ませる人が多いのだとか。
私は現地のもの食べて、新しい発見に出会いたいですけどね。
例の叔母様ですね。
物価水準の変化に気づかずというのは、読んでいて今の日本人とかなさなる部分が大きいなと思いました。
日本って、物価、特に外食時のレストランのメニューとかの値上げに対しては、すごく厳しい態度を見せ、それ故に本来しなければならない価格の値上げができずに無理している飲食店が疲弊して、やめてしまうお店も少なくないと思います。
その結果が給与水準の停滞でもあり、日本の停滞なんですよねえ。
Kame
向日葵
ぽこねん
たけのこは日本でも大人になってから有り難みがわかる食材のような気がします。
パラパラ写真楽しませて頂きました^^